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コミュニケーションのやり取りにおいて、聞き手からの働きかけの1つに相槌がある。
相手の話を相槌を打って返す時に、打ち方によっては、以後の話の方向が大きく変わるのは、だれにも思い当たることであろう。
先日、電車の中で中年ビジネス2人のやり取りを耳にした。
「近ごろ、上司とうまくいってなくてね」「よくある話さ」「そうかなあ」
「理想の上司なんてどこにもいないんだから」「きみのところはどんな具合なんだ」
「いや、ひどいもんだよ。自分が頼んだことはすぐやれって言うくせに、こっちが頼んだことはいっこうにやってくれないんだから。まいるよ」
「そんなものかね」「そんなものさ」
電車が神田駅(東京・千代田)に到着すると、「どう、軽くやっていかない」「うん、いいね」と
相槌を打ちながら聞き手が話をリードして行っているのに、気づかれたことと思う。
相手の話を深刻に受け止めずに「よくある話さ」で軽くいなしてしまう。話し手も<どこも似たり寄ったりなんだ>と聞き手のリードによって気づかされるのである。
飲みに行った先で2人のノミュニケーションは明るくて、活発に展開されるはずだ。聞き手が「それは大変だなあ」と受けたらどうなるだろう。
「最近、いやによそよそしくてね」「そうか気になるね。何かきっかけでもあったのか」「何もないんだけどね。ただ…」「ただ?」「いや、たいしたことじゃない」
話は段々深刻になり、話し手の悩みはさらに深まってしまう。
上司がカウンセラーになって悩みを聞くのならともかく、日常のやり取りは軽くいなして明るい方向に持っていくのもリードの仕方の1つだろう。
もう1点。軽い驚きを伴う相槌は話し手を元気づける。
「ほお、それは知らなかった」「へえ、そんなことがあるのかね」
部下は自分の話が価値あるものとして受け取られたと手応えを感じる。逆に「ふん」「それで」と気のない相槌を打たれるとガックリする。相槌一つで部下は変わるのだ。
福田賢司
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