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手がかかる、世話が焼ける、負担になる。誰のことかと言えば、それだけ手間のかかる仕事で、なかなか思い通りにいかないのが通常である。
従って、「部下に感謝するなんて冗談じゃない。こっちが感謝されたいよ」と文句の1つも言いたくなる。
だが、仕事は持ちつ持たれつ。部下が目標を達成すれば、上司も「長」としての役割を果たせるのだ。
顧客から高い評価を得ている部下は、実は上司も一緒に「いい上役に恵まれているんだろう」と高く評価されるのだ。
「テクノロジーの時代は部下が上司を教える時代である」と米ゼネラル・エレクトリックの前会長、ジャック・ウェルチ氏が言ったそうだ。
部下からみれば、上司だって結構、世話の焼ける存在なのかもしれない。
視点を変えれば、部下は「ありがとう」と感謝するに値する存在となる。
かつて、中年のリーダーが「ありがとうが言えない3つの場合」と前置きして、次のような話をしてくれた。
「第1に、食事を作ってくれる女房に、ありがとうと言えません。考えてみれば毎日、食事を作るのは大変なことだと思うんです。にもかかわらず、何も言わず食べてい
ます。
第2に、ラインの故障個所を発見して報告にきた部下に、早く知らせてくれたことに感謝すべきなのに、『なに⁉また故障か』と、文句を言ったりしてしまうんです。
第3に、自分を育ててくれた親に対してありがとうというより、うるさいと思う毎日です。
いま挙げた3つの場合にこそ、ありがとうと感謝の言葉が言えるようにならなければと、近ごろ痛感しています」
「ありがとう」を自然に言えるようにしよう。それには心に余裕がいる。
心のこだわりを除いて、気持ちの整理ができていれば、「ありがとう」も、自然に口から出てくるはずだ。
部下に「ありがとう」と言えば、部下はその夜、奥さんに「ウチの課長もなかなかいいところあるよ」などと、
告げているのではなかろうか。とはいえ、「ありがとう」は感謝の言葉で、褒められたくて言うものではない。
福田賢司
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