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誰でも黙るより、話す方が好きである。
人間は元来、話したい動物だから、黙っているのは相当な忍耐を要する。
人の上に立つ者ともなれば、頭の回転も速く、弁も立つ人間が多い。
問題の本質が何であり、どうすれば解決可能かも、すぐに見通せるだけに、
人々がああでもないこうでもないと、見当外れのおしゃべりをしていると、黙っていられないで、さっと割って入りたくなる。
そして実際に話を遮って「分かってないね。問題の核心はこうなのだ。なんとなれば」とばかりしゃべり出す。
そのうえ、「ついでに言っておくが」と部下の至らない点まで詳しく指摘する。
部下は感心して聞くばかりで「さすがですね。なるほどね」の相槌を繰り返し、上司はいい気分を味わうものの
これでは考える力が部下につかない。有能な上司にしばしば見られる傾向で、いわゆる「黙っていられない上司」なのだ。
会議の席でも、発言を独り占めするのはこのタイプの人である。
発言がなかなか出ない、発言があっても要領を得ない、司会者がもたついて議論が先に進まない、などの傾向が出てくると、
じりじりしてきて、黙っていられない症状が現れる。そしてつい、口をはさんでしまうのである。
人を育てるには、「待つ」ことを学ばねばならならい。相手が話すのを待つ。
一方わが身はと言えば、すぐにでもしゃべりたい。
この関係性のなかで「待つこと」「黙ること」は容易ではない。だが、部下を育てる責任を果たすためには、容易ならざる忍耐をしなくてはならない。
それにもう1つ。上司がどんなに優れた指摘をしたとしても部下に聞く耳がなければ「馬の耳に念仏」。
聞き流されるのみである。あなたの話を聞いて理解できるように育てるのも、上に立つ者の仕事なのだ。
「黙っていられない上司」と「聞く耳を持たない部下」では、コミュニケーションは不発に終わる。不発、不毛な状態を脱してこそ指導は可能となる。
福田賢司
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