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日本語の曖昧さはしばしば非難の対象にされる。日本人がよく口にする「そのうち、一杯やりましょう」
この表現、欧米人にしてみれば「そのうちとはいつのことですか。はっきりさせてください」と言い返したくなるそうだが、
日本人は「いいですね。楽しみにしていますよ」と曖昧なまま受ける。
本当に一杯やりたいなら、相手から連絡があるだろうと、相手の意思に任せてしまうだろうと、相手の意思に任せてしまうのである。
日本人がはっきり言い切らないで、曖昧な言い方をするのには理由がある。例えば、次のようなやり取り。
上司「どう、だいぶ忙しそうじゃない」
部下「ええ、まあご覧の通り…」
上司「そろそろ…」
部下「実は私も、そろそろやらなくてはと思っているところです。例年のイベントの件ですよね」
上司「私もそろそろと思っていたところでね。」
部下「そうですよね。予算も厳しいですからいろいろ知恵を絞らないと」
上司「一度、何人かで集まっているかね」
部下「ええ。私の方で早速考えてみます」
上司「じゃ、一つ頼む。」
上司にしてみれば、時期も迫っているし、部下は一体何をぐずぐずしているのか、心中、苛立っている。かと言って、
その気持ちをストレートにぶつけて「ああしろ、こうしろ」と口やかましく言うのでは、部下の心に反発が生じる。
上司が細々と「ということで、時期も迫っているし、やらなければならないことも多いんだから、すぐ着手しないと間に合わなくなるぞ」
こう言えば、部下からは「分かっていますよ」と不満の一言が返ってくる。
曖昧に問いかけるのは、部下を信頼している態度を示すためである。こと細かに言われると、信頼されてない証拠と受け取られる。
人は信頼されている、任されていると感じた時、やる気を起こす。上司としても、信頼するから仕事を任せるのである。
勿論、新人の部下とは上記のやり取りは無理である。ある程度の共通理解が前提になる。
福田賢司
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