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第27回 部下を混乱させないためには

日本のものの言い方の特徴の1つに、曖昧な言い方がある。自分だけ承知して、はっきり言い切らず、遠回しな言い方をして、相手に察しさせる。
多分に、日本の文化が影響している。

「言わぬが花」であって、はっきり言うのははしたないとされた時代の文化が、今に尾を引いているからである。
 
大手企業で、課長を務めた人と、中央線に乗って、山梨県の甲府まで行くことになった。
 
甲府市は、私の出身地。かつて課長だったその人も、甲府支店で3年間勤務したことがある。
車中、話題にはこと欠かず、会話が盛り上がるだろうと、予想していた。八王子から乗ってきた彼と、仕事の打ち合わせを済ませた後、
2人で缶ビールを開けた。
 
ところが、間もなく彼は「福田さんと、こうして中央線に乗っていると、つらいものがありますね」と言い出した。つらいもの?
 
彼は3年間、甲府支店に勤務した。山梨県は外から来た者には馴染みにくいところで、苦労も多かっただろう。
多分、それを思い出し、しかし、話し相手の私が甲府の人間なので、言いづらい。だから、つらい…のか。
 
「あなたも3年間、甲府で苦労がいろいろあったでしょうね」
 
すると、彼はキョトンとしていて、「いいえ、そういうことではなくて、外の景色があんまりきれいなもので、福田さんとも話がしたい、外の景色も見たい。それで…」
 
だったら、最初からはっきりそう言ってくれればいいのにと、大笑いになったのだが。
 
部下の企画提案書を見て、上司は「うーん、ここがちょっとな」と首をひねった。
部下は「ここ」に手を入れ、書き直して、「今度こそ」との思いで、再度提出した。ところが
上司の「ここがちょっと」は、ここにとどまらず、全部再検討という意味で言ったのだった。
「だったら、そのように言ってください」。部下の口から、思わず漏れた一言だった。
口に出してはっきり言う「言語習慣」を身につけよう。

福田賢司

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