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人の話を聞くことの重要さについては、再三再四強調されて、今や周知の事実となっている。だが、近ごろの傾向として1つ気になる点がある。
「聞く」を「キミ、どう思う?」と部下の意見を引き出すことだけに、焦点を当ててとらえる傾向である。
これでは聞くという働きかけが、極めて、狭い範囲に閉じ込められてしまうのではないか。
「聞く」は相手により状況に応じて変化が欲しいし、もっと伸びやかなコミュニケーションとして生かしたい。
コンピュータの会社で営業マネジャーを務めるN氏は聞き上手と評判の高い人だ。
彼はやる気のある部下に対して、「オレもいろいろ考えたんだが、〇〇の件について、キミの考えを聞かせてくれ」。時には「教えてくれ」などと言う。
相手が考えを述べ始めると、「そうか。その考え、面白いな」「う~ん。なるほどね」「いや、よく勉強しているね」などと、肯定的に反応して先を促そうとする。
とはいえ、部下全員に対してこのような聞き方をしているのではない。
要領を得しない話し方をする部下には「よおーし、今日は勉強会だ」と、似た傾向のある部下を集めて、勉強会を開催して、指導に当たる。
指導の際は、厳しい突っ込みも入れる。
「社内で要領の悪い説明をしていると、お客の所でも同じようになる。そうだろう。ハハハ」と指摘して、後は笑い飛ばす。
そのうえでどうすれば簡にして要を得た話ができるか、方法を提示する。
ある部下がサポート担当のエンジニアに「データを求めても協力してくれないんです」と苦情を言うのを聞いた時は、こう対応した。
「サポートの仕事は面倒なものが多い割に目立たないものだ。時々声をかけ、ねぎらってやるとよい。オレたちも必要とされているんだと感じさせれば、協力してくれるさ」などとアドバイスする。
聞くのにも、いろいろな出方が考えられる。「聞く」を相手への働きかけととらえれば、状況に応じた働きかけの工夫ができる。
福田賢司
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