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トム・ピーターズ氏は著書『経営革命』の中で
具体的—個人的な体験談や古今東西の有名人のエピソードなど—の重要さを説き、次の言葉を引用している。
「具体例とは、つまりリーダーシップにほかならない」(アルべルール・シュヴァイツァー)
部下指導の際にも、この言葉は当てはまる。あれこれ理屈をこね回したり、偉そうに説教しても、たいした影響力はない。逆に反発を招く。
やってほしいこと、改めてもらいたい点などをさり気ない具体例で示して、部下自身に気づかせていくほうが、影響力としてリーダーシップを発揮できるのだ。
先日、帰りの電車の中で、2人の中年男性が一杯機嫌でしゃべっているのを耳にした。
「この前、風邪を引いちゃってね」「ここんとこ、風邪が流行っているらしいね」
「そうらしい。でね、結構高い熱が出るんだよ。心配になったんで、病院に行って診てもらったんだ」
「それがいい。『風邪は万病のもと』って言うから、用心にこしたことはないさ」
「医者は今流行の風邪で、悪質のものではないから心配ないって言うんだ」「よかったじゃないか」
「でも気になることが1つあってね」「気になること?」
「そう。医者が診察中に2度ばかり首をひねるんだよ。心配ないと言っておきながら首をひねるんだよ。心配ないと言っておきながら首をひねるのは一体どういうことかと、気になってね。H5N1インフルエンザが問題になっている時期だけに」
「まさか、現にこうして愉快に酒も飲めるし。単なるその医者の癖だよ」
2人のやり取りを聞いて、人間が言葉よりも目に飛び込んでくる非言語情報にいかに敏感であるかを思いしらされた。
あなたの部下言っていることは的を射ているのに、貧乏揺すりをする男がいたとする。
改めてないと、内容まで<大丈夫か>と疑われかねない。
先に述べた具体例を引用して、「人は目に入る刺激に強く影響される。
あらぬ疑いをかけられたりもするわけだ」と話せばピンとくるだろう。状況が目に浮かび、自分の姿に気づく。具体例はよく効くクスリなのだ。
福田賢司
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