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「説明責任」—今ではすっかりお馴染みになった言葉である。
自衛隊のイラク派遣を巡って、小泉首相(当時)は「説明責任」が強調されるのは日本人が説明を嫌い、敬遠する傾向が今もって根強く残っているからだろう。
上司に説明を求められると、「説明しなければいけませんか」と、億劫そうな態度を見せる部下がいる。
帰宅が深夜に及んで、理由を聞かれると「オレにそこまで言わせる気か」などと、怒り出す夫もいる。
人間だから失敗もある。予定が遅れることもある。その理由を説明するのは、相手に対する誠意ある態度である。
(いちいち言わなくても)と面倒がるのは、わがままなのである。
説明責任を浸透させるには、分かるように説明するとともに、聞く側も説明を聞く耳を持たなければならない。
予定が遅れる理由について部下が説明を始める。途端に上司は怒り出す。
「言い訳をする暇があったらさっさとやったらどうだ」
必要な説明を、弁解を言い逃れと受け取って、これを嫌う。
失敗を恐れるなといっておきながら、部下が失敗し、その原因を説明しようとすると、一言で断じる。
「言い訳なんか聞きたくない」
「言い訳」を弁解と混同して忌み嫌うのは、根本に説明嫌いがあるからだ。
言い訳とは、訳を説明することだ。失敗を反省し、その原因を明らかにして前進しようとの、積極的な心に端を発するコミュニケーションだ。両者ははっきり区別できるものである。
失敗に対してきちんと言い訳するのは、責任を取ろうとする態度なのだ。部下が訳を説明し、上司が説明に耳を傾けて、ともに失敗から学ぶのである。
上に立つ者は、そろそろ言い訳に対するアレルギーを捨てるべきときであろう。それでこそ、部下も育ち、責任説明も本物になる。
福田賢司
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