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第13回 部下との心理的な距離を近づけるには

ドイツの詩人ゲーテは、「喜びは共にすると倍になる。悲しみは共にすると半分になる」という、有名な言葉を残している。
 
感情を共にすることを、共感という。

部下の話に共感できる上司は、双方の心理的な距離を近づけることができる人である。言っていることは正しくても、共感を伴わない発言は実感に乏しい。
 
人の話に共感できる人というのは、水平のコミュニケーションが取れる人である。
 
不況の折、売り上げを伸ばそうと上司を先頭に必死に取り組んでいる毎日だが
ある日の夕刻。出先から戻ってきた部下が「ああ、疲れた」と言って席に着いた。それを聞いたマネジャーが睨みつけるようにこう言ったものである。

「いい若者が『疲れた』とは情けないぞ。そういうことだから売り上げが伸びないんだ」
 
部下は「すいません」と言ったものの、その言葉には全く力がなかった。
 
先頭に立って、疲れ知らずのように自ら動き回っているマネジャーは
実は「俺だって疲れているんだ」と言いたいところだ。それを若い部下から言われたために「若いくせに」との思いから、ハッパの1つもかけたくなって、あのような言い方をしてしまったのである。

 
ここはむしろ、正直に「俺も疲れたよ」と言ってみたらどうか。部下と肩を並べ「俺も同じだ」と気持ちを近づける。
 
人間、気持ちの部分では上も下も、共通したところがある。疲れたら疲れたと正直に言う態度が共感につながる。
部下も「え、課長も同じなんですか。課長はタフだから、別化と思っていました」となる。部下は上司に親しみを感じて「それにしても今月は何とか目標を達成したいですね」と、かえってやる気を出したりする。
 
今の若い社員は立派な上司を「自分にはかなわない」と敬遠する。部下の気持ちに共感できる、人間らしい上司に親しみを感じ、やる気を喚起される傾向があるようだ。
 
部下と気持ちを共有しながら、方向付けができるリーダーでありたい。

福田賢司

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